赤ちゃんの鼻水が出たら?月齢別のケアを解説

赤ちゃんの鼻水が出たら?月齢別のケアを解説

赤ちゃんの鼻水は、風邪の前兆や乾燥のサインとして現れることがよくあります。とはいえ、大人のように自分で鼻をかむことができないため、こまめなケアが必要になります。放っておくと、鼻がつまって呼吸がしにくくなったり、ミルクを飲みにくくなったりするだけでなく、中耳炎など別の不調につながることもあります。

ただし、ケアの方法は月齢によって異なり、吸い取りすぎも肌荒れや違和感の原因になるため、やさしく丁寧な対応が求められます。市販の器具やアイテムも活用しつつ、赤ちゃんにとって心地よい環境を整えてあげることが大切です。

この記事では、赤ちゃんの鼻水に対する基本的なケア方法から、月齢ごとの注意点、吸引時のポイント、そして病院を受診すべきタイミングまで、わかりやすくご紹介します。親子ともに安心して乗り越えられるよう、参考にしてみてください。

赤ちゃんの鼻水ケアの基本

赤ちゃんの鼻水は体調のサインでもあり、適切なケアで快適に過ごせるようにしてあげたいものです。まずは、鼻水が出たときにどう対応すればよいか、どんなタイミングで処置すべきかを知ることが大切です。ここでは、赤ちゃんに負担をかけない基本的なケアの方法をご紹介します。

鼻水が出たときの初期対応

赤ちゃんの鼻水に気づいたら、まずは慌てず、やさしく拭き取ることが第一です。ティッシュやガーゼを使用する際は、肌に摩擦がかかりすぎないよう、やわらかい素材を選ぶと安心です。拭くときは、鼻の下から外側に向かって軽く押さえるようにすると、赤くなりにくくなります。

鼻の奥に溜まった鼻水が気になる場合は、無理に奥まで取ろうとせず、蒸しタオルを使って鼻まわりを温めてあげると効果的です。温めることで鼻水がゆるみ、自然と外に出やすくなります。ガーゼに包んだ湯たんぽや、温かいお風呂も同様の効果が期待できます。

夜間や授乳時など、鼻づまりで赤ちゃんが苦しそうな場合は、市販の鼻吸い器を使って少しだけ吸い取ってあげるのもひとつの手です。ただし、吸いすぎは粘膜を傷つける原因にもなるため、1日に何度も行うのは避けた方が良いでしょう。

基本は「やさしく・こまめに・無理をしない」こと。赤ちゃんの様子をよく見ながら、その子に合ったケアをしていくことが大切です。

赤ちゃんに適した加湿・体勢調整

鼻づまりが続くと、赤ちゃんは授乳や睡眠がうまくできず、ぐずる原因になります。そんなときに有効なのが、室内の加湿と体勢の調整です。加湿は鼻の中の粘膜をやわらかく保ち、鼻水を外へ出しやすくするために欠かせません。冬や乾燥する時期は特に、加湿器を使って室内の湿度を50〜60%程度に保つようにしましょう。

加湿器がない場合でも、洗濯物を室内に干す、やかんでお湯を沸かすなどの方法で加湿効果を得られます。また、赤ちゃんの頭を少し高くして寝かせることで、鼻水がのどに流れにくくなり、呼吸が楽になります。バスタオルを折りたたんでマットレスの下に入れ、ゆるやかな傾斜をつけると効果的です。

うつぶせ寝や、頭を上げすぎる姿勢は危険を伴うため、無理のない範囲で姿勢を整えることが大切です。赤ちゃんが呼吸しやすそうにしているかをこまめに確認し、過剰な傾斜や不安定な寝かせ方になっていないか気をつけましょう。環境を整えることで、鼻水の症状が軽くなるケースも少なくありません。

生理食塩水で鼻の通りをよくする方法

赤ちゃんの鼻づまりには、生理食塩水を使ったケアも効果的です。生理食塩水とは、体液に近い濃度(0.9%)の塩分を含む水溶液で、鼻の中の乾燥や汚れをやさしく洗い流す働きがあります。市販のものを使用するのが安心ですが、自宅で塩と水で簡単に作ることも可能です。ただし、衛生面を考慮して、清潔な容器と精製水を使うようにしましょう。

使い方は、スポイトや点鼻用の容器を使って、生理食塩水を赤ちゃんの鼻の穴に数滴垂らします。その後、しばらくすると鼻水がゆるみ、自然と流れ出ることがあります。必要に応じて、ガーゼで拭き取るか、鼻吸い器で軽く吸ってあげるとよいでしょう。

鼻の奥に溜まっている場合も、生理食塩水の浸透によって粘りが減り、無理に吸い取らなくても自然に排出しやすくなります。ただし、使用前には体温程度に温めておくことが重要です。冷たいまま使用すると、赤ちゃんが驚いたり嫌がったりする原因になります。

生理食塩水は薬ではないため、こまめに使用できるのもメリットです。乾燥しがちな季節や鼻づまりが気になるときに、安心して取り入れられるケア方法として覚えておきましょう。

月齢別!鼻水対処法のポイント

赤ちゃんの鼻水ケアは、成長段階に応じた対応が求められます。月齢によって体のつくりや動き方が異なるため、一律の方法ではうまくいかないこともあります。とくに0〜2歳までは、無理のないケアが赤ちゃんの安心につながります。この章では、0〜6ヶ月、6ヶ月〜1歳、1歳〜2歳の3つの段階に分けて、それぞれの特徴に合わせた対処法をご紹介します。

0~6ヶ月

生後6ヶ月までの赤ちゃんは、首が座っていないため体を起こすのが難しく、鼻づまりによる呼吸のしづらさがより深刻になります。この時期は自分で体勢を変えることができないため、保護者のサポートが不可欠です。まず大切なのは、こまめに鼻水を観察し、呼吸が苦しそうなときには早めに対応することです。

鼻水が出ている場合は、やわらかいガーゼや綿棒で優しくぬぐってあげましょう。粘度が高い場合や奥のほうに詰まっているときは、生理食塩水を数滴たらしてから、口で吸うタイプや手動ポンプ式の鼻吸い器を使うと、赤ちゃんに負担をかけずに吸引できます。

また、寝ているときは、バスタオルを敷いて頭をわずかに高くすることで、鼻水がのどに流れ込まず、呼吸がしやすくなります。ただし、傾きすぎたり、不安定な姿勢にならないよう十分注意が必要です。

感染症の兆候が見られるときや、鼻水が長引く場合は、自己判断せず小児科を受診することも大切です。とくにこの時期は免疫が弱く、症状が急変しやすいため、慎重な対応が求められます。

6ヶ月~1歳

6ヶ月を過ぎると赤ちゃんの首がしっかりしてきて、寝返りやおすわりもできるようになります。その一方で、動きが活発になり、鼻水ケアの際にじっとしてくれないことも増えてきます。無理に抑えつけようとすると赤ちゃんが怖がってしまうため、この時期は「遊び感覚」でのケアが効果的です。

たとえば、ぬいぐるみを使ってお世話ごっこをしたり、「鼻吸い器でお鼻ピッ」と声かけをしてから行うと、嫌がるのを和らげやすくなります。保護者の表情もやさしく保ち、短時間で済ませるように心がけましょう。吸引のときは電動タイプを使うとスピーディーに処置ができますが、音に驚く子には手動タイプの方が向いている場合もあります。

また、湿度を保つために加湿器を活用し、鼻水が固まりにくい環境を整えることも重要です。食後や眠る前など、タイミングを決めてケアすることで赤ちゃんの生活リズムも安定します。

1歳~2歳

1歳を過ぎると、自分の意思がはっきりしてくる反面、鼻水のケアを嫌がることが増えてきます。しかし、言葉をある程度理解できるようになってきたこの時期は、「鼻をかむ練習」を始めるのに適したタイミングでもあります。

最初は、ティッシュを使って鼻を「ふーっ」と出す練習から始めましょう。赤ちゃんにとっては鼻をかむという感覚が分かりにくいため、保護者が見本を見せたり、「お鼻から息を出してごらん」と声をかけることで、少しずつコツを覚えていきます。

また、うまくできたときには大げさに褒めてあげることで、鼻かみが「いやなこと」から「できること」へと変化していきます。トレーニングは一日数回、短時間で切り上げるのがコツです。とはいえ、まだ完全に鼻をかめるようになるには時間がかかります。鼻水が多いときは引き続き吸引器を併用しながら、無理なく練習を重ねていくことが大切です。

鼻吸い器を使用するときのポイントと注意点

鼻水が多く出ているときは、こまめな吸引が赤ちゃんの呼吸を助け、睡眠や授乳をスムーズにするうえで効果的です。ただし、力を入れすぎたり、頻繁に吸いすぎると、鼻の中を傷つけてしまうこともあります。器具の種類や使い方によって扱いやすさや刺激の強さも異なるため、それぞれの特徴を理解して、赤ちゃんに合った方法を選ぶことが大切です。

手動・電動・口吸いタイプの違いと使い方

鼻水吸引器には大きく分けて「手動タイプ」「電動タイプ」「口吸いタイプ」の3種類があります。それぞれに特長があり、赤ちゃんの様子や家庭の使いやすさに合わせて選ぶのがポイントです。

手動タイプはポンプ式やスポイト式が多く、コンパクトで持ち運びにも便利です。構造がシンプルな分、お手入れがしやすく価格も手頃ですが、吸引力はやや弱めで、粘度の高い鼻水にはやや不向きな場合があります。

電動タイプはモーターの力で鼻水を吸い出すため、しっかりと吸引できるのが大きな利点です。音がやや大きいものもありますが、短時間で処置ができ、外出前や夜間のケアにも活躍します。高機能なモデルは水洗い対応や吸引力の調整ができるものもあります。

口吸いタイプは、保護者がチューブを通して吸引するタイプです。力加減を調整しやすく、赤ちゃんの状態に合わせた対応が可能です。ただし、感染予防のためにフィルター付きの製品を選ぶことと、衛生管理を徹底することが必要です。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途や使用頻度を考慮して、赤ちゃんが不快に感じないものを選ぶと安心です。

適切な頻度とやさしい吸い方

赤ちゃんの鼻水を吸引する頻度は、状態に応じて調整することが大切です。基本的には、授乳や食事の前、寝る前など、呼吸がしづらそうなときに行うのが目安です。ただし、1日に何度も行うと、鼻の粘膜を傷つけてしまうおそれがあります。乾燥や炎症の原因になることもあるため、1日に2〜3回程度を上限に、必要なタイミングだけに絞って対応しましょう。

吸引の際は、赤ちゃんが動いてしまうことが多いため、安定した姿勢を保つ工夫が欠かせません。抱っこして膝に座らせる、タオルで体を優しく包むといった方法で、なるべくリラックスできる体勢にするとスムーズです。

吸引器を鼻の奥に入れすぎないよう注意し、片方ずつやさしく吸い取ります。鼻の通りが悪いときは、事前に生理食塩水を使って湿らせると、より効果的に取り除けます。泣いたり嫌がったりすることもありますが、無理に続けるのではなく、赤ちゃんの様子を見ながら短時間で済ませるのがコツです。

吸引後にしておきたいケア

鼻水を吸引したあとは、鼻のまわりや粘膜が敏感になっているため、やさしいケアが欠かせません。まず、ガーゼや柔らかいティッシュなどで鼻の外側を軽く拭き、乾燥やかぶれを防ぎましょう。赤くなりやすい部分には、ワセリンや保湿クリームを塗って保護するのも効果的です。

また、吸引によって鼻の中の粘膜が一時的に乾燥しやすくなるため、室内の湿度を適度に保つことが重要です。加湿器を使うか、濡れタオルを部屋に干すなどして、湿度50〜60%を目安に整えるとよいでしょう。とくに秋冬の季節やエアコンの効いた環境では、乾燥によるトラブルが起きやすくなります。

吸引後に鼻血が出る、赤ちゃんがいつもより不機嫌になるなど、気になる変化が見られた場合は、一度吸引の頻度や方法を見直してみましょう。繰り返すようであれば、かかりつけ医に相談することをおすすめします。鼻水ケアは、赤ちゃんの体調を整える大切なステップ。吸引後のフォローまで丁寧に行うことで、快適な日々につながります。

家庭でできるケアと病院を受診する基準

赤ちゃんの鼻水はよくある症状ですが、体調のサインであることも少なくありません。軽い風邪からウイルス感染まで、原因はさまざまです。家庭で無理なくできるケアを行いつつ、症状の変化に注意を払うことが大切です。特に、鼻水の色や量、続いている期間によっては、早めの受診が必要になることもあります。判断に迷ったときの参考にしてください。

鼻水の色・量・続く期間で見極める受診の目安

赤ちゃんの鼻水は、その色や状態によって体の中の変化を読み取るヒントになります。たとえば、透明で水っぽい鼻水は、軽い風邪や花粉・ほこりなどが原因のことが多く、機嫌や食欲に問題がなければ、家庭でのケアで様子を見ることができます。

一方で、白っぽく粘りがある鼻水が出てきた場合は、風邪の症状が進行している可能性があります。さらに黄色や緑色の鼻水が続くと、細菌感染や副鼻腔炎の兆候であることもあり、注意が必要です。また、鼻水の量が多くて呼吸がしにくそうだったり、授乳や睡眠に影響していたりする場合も、無理せず医療機関を受診したほうが安心です。

参考:Baby Smil

鼻水が5日以上続く、発熱や咳を伴う、機嫌が悪い、顔色がすぐれないなどの症状があるときも、早めの診察がすすめられます。特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんは免疫力が弱く、症状が悪化しやすいため、軽い鼻水でも一度小児科に相談するとよいでしょう。

参考:といやまこどもクリニック

親が「いつもと違う」と感じたときは、直感も大切な判断材料です。無理に自己判断せず、早めに医師のアドバイスを受けることが、赤ちゃんの健康を守る近道になります。

熱や咳があるときに気をつけるべき症状

赤ちゃんに鼻水だけでなく、発熱や咳といった症状が伴っている場合は、より慎重な観察が求められます。まず、38度を超える発熱が続く場合や、突然高熱が出た場合は、ただの風邪ではない可能性もあります。特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんは、体温調節機能が未熟であり、少しの熱でも重症化するおそれがあるため、すぐに医療機関を受診してください。

また、咳が激しく長引いている、息苦しそうにしている、ゼーゼーという喘鳴が聞こえる場合は、気管支炎や肺炎などの呼吸器系の病気が隠れていることも考えられます。咳で眠れない、授乳ができないほど辛そうな場合も、早めの受診が安心です。

参考:子育て長田こどもクリニック

熱や咳に加え、顔色が悪い、ぐったりしている、水分をとってもおしっこが極端に減っているといった全身状態の変化も、見逃さないようにしましょう。小さな変化でも、「普段と違う」と感じたときには迷わず医師に相談するのが賢明です。

参考:わしおこどもいいん

赤ちゃんはまだ自分で不調を伝えられません。だからこそ、日頃の様子と比べながら、親の観察力と直感を大切にしてください。判断に迷ったときは、ためらわず小児科に相談することが、安心につながります。

まとめ

赤ちゃんの鼻水は、体調の変化を知らせる大切なサインです。放置せず、適切に対処することで、快適な呼吸と健やかな日常を保つことができます。月齢によってケアの方法は異なり、吸引器の選び方や頻度、生理食塩水の活用、加湿や体勢調整といった家庭でできる工夫が大きな助けになります。また、熱や咳など他の症状が重なった場合は、より注意深く観察し、必要に応じて小児科を受診しましょう。

赤ちゃんの鼻ケアは一時的なものではなく、成長とともに段階的に対応を変えていくことが大切です。日々の様子を見守りながら、無理のない方法で対応していけば、親子にとっても安心できる時間が増えていきます。慌てず、丁寧に、そして迷ったときには医療の力を頼ることを忘れずに、赤ちゃんの健康を守っていきましょう。